採用ページとは何か

── 採用拠点という考え方について


はじめに|採用の悩みは、なぜ繰り返されるのか

採用がうまくいかない。
応募が集まらない。
ミスマッチが起きる。
定着しない。
説明が伝わらない。

これらは、多くの職場で
それぞれ別の問題として語られています。

応募が集まらなければ、
求人の書き方や条件を見直す。
ミスマッチが起きれば、
説明の仕方や面接を振り返る。
定着しなければ、
現場フォローや制度を考える。

一つひとつは、もっともな対応です。
ですが、これらの悩みが
形を変えながら繰り返されている職場には、
共通して見落とされている視点があります。


採用ページを持っていない職場は、少なくありません

採用ページを持っていない職場は、少なくありません。

特に、小規模な職場や店舗では、
採用ページを用意せずに、
採用を進めているケースのほうが一般的です。

採用ページがなくても、
これまで何とかなってきた。
人も集まり、現場も回っている。
そう感じている方もいるでしょう。


ただ、一度だけ立ち止まって考えてほしいこと

ここで、
一つだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。

その「何とかなっている状態」は、
何によって支えられているでしょうか。


採用の問題は「点」ではなく「構造」で起きている

ミスマッチや定着の問題は、
ある日突然起きるものではありません。

多くの場合、

  • •応募前
  • •採用合格後
  • •勤務開始後

この時間軸のどこかで、
同じ前提が途切れています。
前提が途切れると、
判断は人に委ねられます。

その結果、

  • •説明はその場限りになる
  • •判断基準は人によって変わる
  • •納得は続かない

問題は、
誰かの能力や努力ではありません。

構造として、
判断の前提が残らない設計になっていること
そのものです。


採用に使われているページに、並んでいるもの

多くの職場では、
採用に使われているページに、
次のような情報が並びます。

  • 業務内容
  • 勤務時間
  • 給与や待遇
  • 勤務地

これらは、確かに必要な情報です。

ただし、
こうした情報が中心に並んでいるページは、
読む人にとって
比較するための場所になります。

他の職場と並べて、
条件を見比べる。
良さそうかどうかで判断する。

この段階では、
「この職場が自分に合うかどうか」よりも、
条件としてどうかが、先に来ます。

条件比較が前提になると、判断軸は人に委ねられる

比較を前提に読む場合、
判断の基準は、人それぞれになります。

  • •条件を重視する人
  • •働き方を想像する人
  • •雰囲気を都合よく解釈する人

それぞれが、
自分なりの前提で「納得」します。

この時点では、
まだ大きな問題は表に出ません。

条件で迷っている人ほど、別の判断材料を探している

条件を比較している人は、
条件だけで決めたいわけではありません。

  • •条件に大きな差がない
  • •どこも決め手に欠ける
  • •何となく迷っている

こうした状態のとき、
人は次の判断材料を探します。

それは、
条件では表現できないものです。

  • •職場の雰囲気
  • •仕事への向き合い方
  • •自分がそこで働く姿を想像できるか

これらは、
一覧で比較することはできません。

ですが、
応募するかどうかを決める場面では、
とても大きな影響を持ちます。


採用ページは、応募前の迷いを整理する場所にもなる

採用ページがあることで、

条件面で迷っていた人が、
職場の考え方や空気感に触れ、
自分なりの納得を持てる。

その結果、
「ここなら応募してみよう」
と判断を前に進める。

採用ページは、
応募前においても
こうした役割を果たします。


ズレは、採用合格後・勤務開始後に表面化する

一方で、
判断の前提が整理されていない場合、
ズレが問題として現れるのは、
採用合格後や勤務開始後です。

  • •思っていた話と違う
  • •想像していた働き方と違う
  • •判断の基準が合っていなかった

これは、
誰かが嘘をついたからではありません。

判断の前提が、
どこにも残っていなかった
ただそれだけです。


採用や定着に関する判断を、人が支え続けている状態

判断の前提が整理されていない場合、
採用や定着に関する判断は、

  • •応募前
  • •採用合格後
  • •勤務開始後

にわたって、
人が担い続けることになります。

説明や調整が必要になるたびに、

  • •状況を見て
  • •言葉を選び
  • •判断を補い

その場ごとに対応する。
それが続いている状態です。


人によって基準が変わるという現実

こうした状態では、
同じ職場の話をしているはずなのに、

  • •人によって言い方が違う
  • •強調する点が微妙に変わる
  • •判断の基準が、その場ごとに揺れる

ということが起きます。

一つひとつは、
大きな問題ではありません。
むしろ、丁寧に対応している証拠です。

ですが、
この小さなズレが積み重なると、
次第に違和感が生まれます。

「人によって言っていることが違う」
「基準がはっきりしない」

これは、
誰かの説明が悪いからではありません。
判断の基準そのものが、
どこにも固定されていないだけです。


その役割を担っているのは、職場の中心人物であることが多い

さらに見落とされがちなのは、
こうした採用や定着に関する判断を
日常的に担っている人の存在です。

多くの場合、それは
職場の中心的な役割を担っている人です。

  • •現場の判断
  • •数値の管理
  • •トラブル対応
  • •次の打ち手を考えること

本来、その人にしかできない役割が、
他にもたくさんあります。


時間をかければ回るが、安定はしない

時間は有限です。

その中で、
採用や定着に関する判断を
個別対応で支え続けていると、
どうしても、
そちらに時間が取られていきます。

結果として、

  • •本来注力すべきことに
    十分な時間を使えなくなる
  • •重要な判断が後回しになる

それでも、このやり方を
やめられない理由があります。
仕組みがない以上、
やめてしまえば回らなくなるからです。


抜け出せない循環が生まれる

気づかないうちに、

  • •忙しいから整えられない
  • •整えられないから、さらに忙しくなる

という循環に入ってしまいます。

これは、
誰かが怠けているから起きるわけではありません。

仕組みではなく、人で支えている構造
そのものが生み出しています。


小規模なうちほど、ズレは見えにくい

人が少ないうちは、
何とか回っているように見えます。

ですがそれは、
ズレがないのではなく、
見えにくいだけです。

  • •人が変わる
  • •時間帯が変わる
  • •状況が変わる

そのたびに、
解釈は少しずつずれていきます。


人が増えたとき、ズレは一気に表面化する

事業が軌道に乗り、
人が増え始めたとき。
そのときに起きるのは、
新しい問題ではありません。

これまで積み重なっていたズレが、
一気に見える形になるということです。
この段階になると、
あとから前提を揃え直すことは、
現実的ではなくなります。


採用ページは「採用拠点」として機能する

ここで言う採用ページとは、
情報を並べたページではありません。

採用や定着に関する判断の前提が集約され、
いつでも立ち返れる場所。

それが、
採用拠点としての採用ページです。

  • •応募前
  • •採用合格後
  • •勤務開始後

どの段階でも、
同じ考え方・同じ判断軸を
確認できる。


採用拠点があると、何が変わるのか

採用拠点として
採用ページが機能すると、

  • •判断が人に依存しなくなる
  • •説明が再現される
  • •納得が続く

結果として、

  • •ミスマッチが構造的に減る
  • •定着が安定する
  • •採用や定着に関わる負荷が下がる

という変化が起きます。


採用ページは「作るもの」ではなく「使うもの」

採用ページは、
作って終わりでは意味がありません。

  • •採用や定着の判断に使われているか
  • •説明の基準点になっているか
  • •勤務開始後も参照されているか

この状態になって初めて、
採用ページは役割を果たします。


ここまでの話は、方法論ではない

ここまで読んで、

  • •どう書けばいいのか
  • •何を載せればいいのか

を探しているかもしれません。

ですが、このコラムは
書き方を教えるものではありません。

なぜ、その考え方が必要なのか。
その前提を共有するためのものです。


次に読むべきページ

ここで整理してきた
「採用拠点」という考え方を、

  • •どの範囲まで
  • •どの形で
  • •どう維持できるようにするのか

それらをまとめているのが、
次のページです。

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最後に

この文章は、
「採用ページを作りましょう」と
勧めるためのものではありません。

気づいてしまうための文章です。

読み終えたあとに残る
「このままでいいのかな…」
という感覚。

それが、この文章が果たしたい役割です。

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